ENo.0081　姫月・シュトレイン

エルフ、それは知識の高い種族――だった。

文明が栄えていくほど便利なものはできる、それはどこの世界も同じである。
例えば、異種族の言語を翻訳できるイヤリング。
例えば、基礎的な魔法であれば簡単に使えるようになるアミュレット。
便利なものができればできるほど、そのアイテムは量産され、貴重ではなくなり、誰でも手軽に扱える。
学ぶことに関心が薄くなる人物が増える、そして知識が高いといわれていた種族であろうと知識は低下する。

「で、ヒメツキ・シュトレイン君」

「あ、それ『ヒメツキ』じゃなくて『ヒメキ』ッス」

「……エルフで漢字って珍しいよね」

「親が和の国好きでー、子供に名前つけるなら絶対漢字にしようーって言ってたみたいなんすよ」

（エルフのキラキラネーム的なやつなのかなこれ）

「それで、姫月君がうちのコンビニのバイト希望って何でなのかな？」

「お金貯めたいんすよ、今度アミュレットの新作が出るらしくて自分それ欲しいんすよ～！！」

「……それだけ」

「それだけ！え、バイトって金貯める以外に理由ってあるんすか？」

「もっとこう、志望動機とか……」

「いや、だからお金貯めたいからバイト希望しました」


（この子、採用していいのかな……エルフでも頭悪そうだし）

「じゃあ合否は電話するから」

「はい、ありがとうございました！」


頭の悪そうなエルフを見てどうしたものかと履歴書を見て頭を掻いた。



「ま、いっか、働いてくれたら。人手足りてないし。」



姫月・シュトレイン　　　採用。