ENo.0038　ジルヴィア=アーベントロート

ジルヴィア
「…………」

ジルヴィア
「全然カモが来ねぇ!!!!　一体何が悪いッてンだ!!　私ャ悪くねェ!!」

ジルヴィア
「やっぱアレか!?　カワイイ売り子さんがいいってンのか!?」

ジルヴィア
「クソッたレ!!　確かに私ァ可愛げなんてもん生まれ持っちゃねぇ!!」

ジルヴィア
「しかたねぇ……可愛げはとやかく売り手は多いにこしたこったねぇ」


白衣の女はレジカウンター傍の黒電話に指をかけ、ダイヤルを回し
ジルヴィア
「おい!　木偶人形!　てめぇこっちに観光に来てるって話だったなァ!!」
ジルヴィア
「んァ!?　お買い物を満喫???　てっめぇ!!　よそのビニコンの売り上げに貢献してんじゃネェ!!」
ジルヴィア
「このジルヴィア先生への恩を忘れたのか!!　……あァ!?　何でキレてるかってそりゃぁ」
ジルヴィア
「私もこのコンビニ闘争の真っ只中にいるからよ!!　オラてめぇ!　買い物は好きにしろだがせめて手伝え!!」

一方的に電話先の相手に理不尽な言葉を投げ続けたかと思えば
乱暴に受話器を元あった場所に叩きつけるように通話をきった。

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???
「ジルヴィア様、招集に応じましたわ。　私もここで労働をすればよろしいのですね?」

開店前の店に現れたのはメイド服らしき衣装に身を包んだ、赤毛の女性だった。
店主の女に比べれば、よっぽど接客には向いていそうだ。

ジルヴィア
「遅ェぞ!　木偶人形!!　給料は出さねェぞ!　てめぇの借金を考えりゃあ妥当だろ!」

ルチア
「……ジルヴィア様、それは承知しておりますが。　わたくしめには『ルチア』という名がありますゆえ」

ルチア
「一時的とはいえ仕える契約には、しっかりとその名を用いてもらう必要がございます」

ジルヴィア
「……あァ?　人間サマに口答えすんのか木偶人形!!　……面倒くせぇ仕様つっさげやがって!!」

ジルヴィア
「ルチア!!　これでいいんだろ!!　労働時間はてめぇをそう呼んどきゃな!!」

ルチア
「ええ、他にも……労働時間内にわたくしのパーツが破損した場合はできればそちらで修繕を……」

ジルヴィア
「うるせぇ!!　ああ、あとてめぇ人間のフリだけはちゃんとしやがれ!」

ジルヴィア
「ここァテメェの国や私の国たァ事情が違う。　テメェら木偶人形の存在は異質そのもんだ」

ルチア
「ええ――もちろんのこと。　では契約に従い、業務を遂行させていただきますわ」