第6週目 小瀬青一郎の一週間
◆日記
瀬島先生が夕闇国でも売れるんじゃないかなんて恐ろしい考えが浮かんだのはいつもみたいに在庫の前でビール飲んでる時でいわゆる哲学ブームとか思想ブームのなかでいくつも超訳の依頼を蹴ってそれでもエッセイみたいな一般向けのけれどかなり高度に哲学的な知識を踏まえた本を新書だろうが寄稿だろうが書き続けた瀬島先生のゲラが夕闇国の俺の手元にはあってでもまだゲラはゲラでこれは著者と詰めて本にしていく段階だ。版元がもうないといったって著作権は瀬島先生のものでいままでの勝手な訳で出していた本だってそりゃあ著作権翻訳権の理念から言ったら完全にアウトでバレれば待っているのは身の破滅なわけだが翻訳はどうしたってそれが不可能な営みである以上ある程度解釈改訳の自由っていうのはあるわけで翻訳の生じない原稿を編集権だけで書き直して出版まで持っていくのは無理がある。でも無理と道理の話ならカール・ウィックマンだろうがシモーヌ・ブノワだろうが俺に訳して勝手に売る権利はないわけで売っちゃいけないものを俺は売り続けていてそれでも顔も見てたし酒も飲んだし〆切はそりゃあ踏み倒したがあれだけ多忙ななかで詫びのメールだけは必ずくれた瀬島先生の顔が浮かんでくるとどうしたって俺に直す権利があるのかと思う。編集権とかなんとか言いながら編集者は勝手に原稿を直す、直すことで出版できる状態まで持っていくという事態もあるし単純な間違いを直すこともあるし論旨がこんがらがってるところを解きほぐすこともそりゃああるが大原則は著者確認と対話で納得の行く直しをすることでそれを忘れた本づくりは必ず滅びるんだが実際のところ大手だって中小だって出版社は編集者は最終確認なしで直したりもするらしくそれで結局本づくりは滅びたのかもしれないと思うしそれなら俺はいま本づくりをこの夕闇国でまた滅ぼそうとしてるのかもしれないと思いながら二日酔いの頭を抱えて赤字を入れて文体をまねて瀬島先生の原稿を直していく。俺は編集者として版元として絶対にやっちゃいけないことをしているしそうだ今までだってずっとし続けていたのだが本当に本が売れないんだ瀬島先生、瀬島先生の本は人文書の中でも細く長く例外的に売れていて難しいものがいいものだなんて言うつもりもないし難しいことを簡単に言えるのが知性だなんて阿呆なことを言うつもりもないがそれでも瀬島先生がそういうエッセイを山ほど書いて哲学者でございなんて顔をしてるのは(いやしちゃいない瀬島先生は史学者だしご自身をずっと史学の人間だと言っていたのだがそれでも世間が瀬島先生を見る目はどうしたってあの哲学者のだし書店でその名前につく枕詞は「哲学者」だ)やはり大学村のなかじゃ相当評判が悪かったらしくてポストもなくて客員だの講師だのどんどん肩書が変わっていった。食っていくより金が来るんだよ印税はなんて下品な手つきで笑う先生はでもどんな時でも哲学史を取り扱ってきたあの知性の光を目から消すことがなかったし俺はそういう人の本を売ろうとしている。しかもそういう人の本を俺の赤字でずたずたにして。
STORY
ゴリラ様のご来店により、陳列がめちゃくちゃになってしまったコンビニこれは一体どういうことなのか……ゴリラウェーブの正体とは……
「さなえ、どうやら敵はあなたを完全に叩きのめしたい様子」
「……」
さなえは黙ったまま、乱れた商品を並べなおしていた。視察先全てがこのような有様だった
金魚の魔女は静かに空中を泳いでいる
「さなえ、ちょっとは落ち込んだ?」
「……そうだね。思うようにはいかないね」
「どうする? 手助けを――」
「手助け?」
さなえの瞳に、金魚が翻る!
「ここからが面白いところじゃない! 這い上がるのってね……楽しいんだよ」
――這い上がるのってね、楽しいんだよ――
◆訓練
気品の訓練をしました気品が23上昇した
◆送品
◆送金
◆破棄
◆購入
青思導書店はエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を993闇円で購入した!
青思導書店はエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を993闇円で購入した!
◆作製
作成時発動! 高級!! 単価強化!
ダイヤの指輪36と時代の風36を素材にして瀬島道理『かろやかな善』を作製した!
◆コンビニタイプ決定
ビジネス に決定!!
◆アセンブル
スロット1にエリック・ブロウ『利己と暴力』を装備した
スロット2にエリック・ブロウ『利己と暴力』を装備した
スロット3にシモーヌ・ブノワ『幻視と痙攣』を装備した
スロット4にエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を装備した
スロット5にエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を装備した
スロット6にエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を装備した
スロット7にカール・ウィックマン『孤立と表象』を装備した
スロット8にヴェロワ『エクリチュールとカラクテール』を装備した
スロット9に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット10にエリック・ブロウ『利己と暴力』を装備した
スロット11にヴェロワ『エクリチュールとカラクテール』を装備した
スロット12にヴェロワ『エクリチュールとカラクテール』を装備した
◆アイテム改名
◆アイテムアイコン変更
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メッセージ
ENo.140からのメッセージ>>
「学生、じゃあないでしょうね。
ここではでも、いったいどんな身分になるのか……」
少し声をたてて笑う。
いくらかわざとらしい音で。
「あなたも、どこか余所からここにいらしたんでしょう?
僕のいたところ、世界と言うと、それは大げさなのかな。
そこはね、滅びてしまっていたんです」
「もう誰もいないし、あらかたのものは壊れている――残っていた人間は、僕ひとり
本もずいぶんあちこち探し回ったけれど、ついに見つからなかった。
燃えてしまったか、腐ってしまったのか。
それとも、僕の探し方が悪かったのかな……」
「だからちょっと夢のようですね。
ずっと読んでみたかったんです……読むということをしてみたかった。
だから――そうですね。
そんな人間が、生まれてはじめて読むとしたら、どんな本がいいものでしょう?」
「あっ、別世界から来たとは言っても、字は読めるだろうと思いますよ。
大丈夫のはずです。
……たぶん」
「学生、じゃあないでしょうね。
ここではでも、いったいどんな身分になるのか……」
少し声をたてて笑う。
いくらかわざとらしい音で。
「あなたも、どこか余所からここにいらしたんでしょう?
僕のいたところ、世界と言うと、それは大げさなのかな。
そこはね、滅びてしまっていたんです」
「もう誰もいないし、あらかたのものは壊れている――残っていた人間は、僕ひとり
本もずいぶんあちこち探し回ったけれど、ついに見つからなかった。
燃えてしまったか、腐ってしまったのか。
それとも、僕の探し方が悪かったのかな……」
「だからちょっと夢のようですね。
ずっと読んでみたかったんです……読むということをしてみたかった。
だから――そうですね。
そんな人間が、生まれてはじめて読むとしたら、どんな本がいいものでしょう?」
「あっ、別世界から来たとは言っても、字は読めるだろうと思いますよ。
大丈夫のはずです。
……たぶん」
◆戦闘結果
売り上げ
闇円収入 2182
貢献収入 46
行動順報酬!! 20%
合計闇円収入2673
商品販売数 3個
◆経験値が38増加しました……
◆体力が28増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
貢献収入 46
行動順報酬!! 20%
合計闇円収入2673
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青思導書店は日々の挨拶40を入手した!
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キャラデータ
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プロフィール
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Seiichiro Oze. 二十三歳で大学を出て、 人文・思想・哲学書をつくる、 小さくもない出版社に入った。 よくこの業界に入ってきたねえ。 このご時世に若い人が。 そう言われながら歓迎されて、 癖のある著者と編集者のなかで本をつくって、 二十六歳で会社が消えた。 本をつくる側から売る側に行き、 書店をやって、二年でつぶした。 借金が残ったあとの夕闇で、 夕闇国に迷い込む。 夕闇国、 そこはあらゆる世界の夕闇の狭間につながる昏い国。 小瀬青一郎、二十八歳。 出版界の夕闇から来た男。 彼は今も人文書を売っている。 彼の世界で本は売れない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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店舗データ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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