ENo.0053　残念すぎるイケメンども

それは、一時間前の事だった。


どなたかいらっしゃいませんかしら･･･？

レジ前に現れたのは、妙齢と思わしき女性であった。どこか不安定なオーラを纏うその女性は、店内をきょろきょろと見回しながら、誰も居ないレジの前に佇んでいる。

あ、いらっさいませーなのだー。
あら、貴方がヒコ様。
･･･？何者なのだ？
よう、何やって･･･ってお客じゃん。いらっしゃい･･･、
うふふ、お久しぶりですわ、ボイジャー様。
･･･誰？

あらあら。お手紙読んで頂けたから、貴方達、こんびにやってらっしゃるのではなくって？



･･･てっ、手紙の主ーーーーーー！？



そして現在。あの奇妙な手紙の主･･･マダムはバックヤードで、のんびり茶を啜っている。

ぶん殴ってきていい？
だーめ。
あの女の所為で俺等こんなコンビニやる羽目んなってんだろ？俺もいっぺん歯の根ガタガタ言わしてえし。
馬鹿者。貴様に女をぶん殴る趣味などなかろうに。
ひとの人生振り回す様な迷惑掛ける女はぶん殴っていいの！
うふふ、殴れるものなら殴ってみては如何でしょうかしら？
うむ。やっぱりヒコがぶん殴る。
だめだってばー！！

そろそろラストスパートに入る頃でしょうから、応援の為に参りましたの。
ラストスパート？
ラストスパートってなに？
もうすぐ終わりだからがんばれーってこった。
つーこたもうすぐこんなバイト生活から脱出できるって事か。あーめんどくせ。
うふふ、ご苦労様でした、皆様。
それにしても、こんなへんてこなとこにこんなへんてこなメンバー揃えて、何したかったの？おばさん。
おばさん･･･？[きょろきょろ辺りを見回す]
どこ見てんだよ。どう見てもおめーだろ。
冗談ですわ、うふふ。

何をしたかったと言われましても･･･私はただ、


そのとき。客が来店した事を知らせるチャイムが鳴った。


あら、お客様。さあさあ皆様、お仕事っぷり、私にも見せて下さいませ。
･･･。



このマダムの目的は？そして今から何を？
謎を深く残したまま、四人は仕事へと戻った･･･。