ENo.0078　阿山煕＆阿山九郎

ヒカル「さぁ・・・・いよいよ、この世界ともお別れかぁ・・・・」

クロウ「せやね・・・・長かったようで短かったよね？」

会話しつつも完全に手馴れた手つきで店内に商品を並べていく作業を進めるヒカルこと『阿山 煕』とクロウこと『阿山 九郎』の完全に見た目が人外な二人の兄弟である。

ヒカル「何か・・・・色々有ったようでなかったような感じやったなぁ」

クロウ「やね・・・・まぁ良くも悪くも安定してた感じやね・・・・何だかんだで・・・・まぁ大きなトラブルに巻き込まれる事も無くてよかったよ」

何気に色々な世界へ渡り歩いてるクロウにとっては、この世界での出来事は始終、穏やかに感じれていたようである。

ヒカル「でもさぁ俺には中々エキサイティングに感じれたけどねぇ・・・・忙しさもあってさ？」

方や余り異世界を渡る歩く事も無く割と平和な『現代の日本』で生活するヒカルにとっては、この世界の出来事も刺激的で楽しくて仕方が無かった・・・・だから・・・・。

ヒカル「やっぱりさ・・・・帰るのが惜しくなるなぁ・・・・？」

クロウ「ヒロ兄ちゃんは帰りたくないの？」

ヒカル「帰りたくない訳では無いよ・・・・ただ、もう少しだけ居たいかなぁ・・・・って思っただけやね」

クロウ「そっか・・・・」


黙々と・・・・作業を進めてゆく二人。


そして・・・・今週も、また何時ものように忙しい日々が・・・・。







・・・・。







・・・・・・・・。







・・・・・・・・・・・・。








「・・・・うーん？」










ヒカル「・・・・あ・・・・あれっ？」

クロウ「・・・・帰って・・・・来れた？」

どうやら『今回』もまた・・・・『飛ばされる』前に居た場所に無事に戻って来れたようだ。

前回の飛ばされた時と同じようにポケットに入れてあるスマートフォンで日付を確認するヒカル・・・・。


ヒカル「飛ばされた時と同じ時間や・・・・やっぱり同じパターンになったなぁ」

クロウ「そうみたいやね・・・・まぁ・・・・無事に帰って来れてよかったよ」


夕闇が迫る少し涼しい秋の夕暮・・・・帰宅する人達が流れるように歩を進めてゆく路地で流れに逆らうように佇む二人。

ヒカル「帰るか？」

クロウ「せやね・・・・まぁ色々と話すのは家に帰って帰ってからでも出来るしね？」

ヒカル「じゃあ・・・・帰る前に、ちょっとコンビニ寄って行かへん・・・・ビールとか、おつまみとか色々と買っていこや？」

クロウ「賛成！俺は甘い物とかも欲しいしね～」

『夕闇国』へ飛ばされた時に持っていた缶ビールなどは向こうで飲み食いしてしまった・・・・なので家へ帰っても手ぶらなので『再度』コンビニへ行ってビールやおつまみ諸々を買いに行く事にした。

ヒカル「今夜は徹夜で飲むで～話も積もりまくって長くなるで～！」

クロウ「やね～でも呑み過ぎは気をつけてよね～二日酔いになると大変やん？」

ヒカル「分かってるって～まぁ・・・・その辺はちゃんと調整するって」


そんな事を話しつつコンビニへ向かう二人・・・・。


そうそう『ゆらぎの通貨』で二人が、お金を手に入れれたのかと言うと・・・・。


メタいかも知れないが、それは今回の結果次第で・・・・。


でも二人は、そんな事は全く気にしていなかった・・・・コンビニで買い物を済ませ夕闇が訪れた路地を楽しく話しながら帰路に着く。


そう楽しい夜はこれから・・・・二人はコレから初秋の長くなり始めた夜を楽しむだろう・・・・きっとね。