ENo.0113　三星ヨイチ

『4へ

元気でやっているかね。
なれない土地での商売、辛いことも多かろう。

先週君が頼んできた最高級品だが、まだ無名の店に卸すのはもったいないと1が言っていた。
代わりはならないだろうが、3等品を納品しておいた。来週にでも届くだろう。
希望に添えずすまないが、君ならやり遂げてくれると信じている。

健闘を祈る。2より』

手紙が届いた。何かと思ったら、真ん中の姉からのありがたいお言葉である。
掃除中だった俺はざっと手紙に目を通し、それからゴミ箱めがけて丸めた手紙を投げつけた。

注文していたみかんは、今日は届かないらしい。
今週は、他から仕入れた酒で凌ぐしかないようだ。

ヨイチには姉が3人いる。
ヨイチは体が弱く、あまり外に出ることができない。
兄弟の中で唯一の男であるのに、家業を満足に手伝うこともできず、悔しい思いをしていた。
それゆえ、コンビニで成功して、姉たちを見返してやろうと思っていた。


「…あ」
こつ、と間抜けな音がした。
ゴミが増えた。