ENo.0027　ソル＝D＝ティー

所謂本厄なのかもしれない。お祓いに行ってこようか。



この間、挨拶に行ってはすぐに逃げ帰ってきた店の、女店主がやってきた。
ここでの通貨は闇円なのに、物々交換すら申し込まれて。

……いや、それは単なる取っ掛かりにしか過ぎない。
あの竜は、私と話すためにここへ来たのだ。

無様に逃げ出した私と違って、
何も気づいていないのか、それとも気づいていて知らないふりをしているのか。

……であれば、私ができるのはそれに応じることでしかない。
恐怖があろうと、歩み寄ってくる相手の手を払うことはできない。
あの時のように、もしかしたら私はこの恐怖から逃れられるのかもしれない。



来客はほかにもあった。

こちらは俺も一切素性を知らない相手。
いきなり馴れ馴れしい雰囲気こそあるが、突っぱねるようなものでもなく。
……まぁ、話を聞くくらいなら、いいか。



この年にして、新しいことばかり発見する。

前はルールも何もかも無視して好き放題やっていたから、感じなかった窮屈さ。
ヒトと同じまで落ちて、柵を振り払えない弱さ。

……少しだけ、それも悪くないと感じている自分が、嫌ですね。