第6週目 ティミーテールの悪い虫の一週間
◆日記
地底の奥深くに埋もれた古のコンビニである「ティミーテール」は、やがて長い時を経て遺跡となり、いつか探究心豊かな学者によって掘り出される時を待っていた。
「今日ももぐらが元気ですねえ」
そして彼女はかつてこのコンビニの店員を務めていたと言い伝えられるコンビニ娘のティミィである。
「そうなんだ……大失敗だった」
「え? 何がですか?」
「今、地上でかつてないゴリラウェーブが起こっているのを知っているか?」
店長であるサムサックは、かつてコンビニの監視カメラとして使われていた地表監視用のモニターを映し出した。そこには大小さまざまなゴリラが映し出されている。
「ああ、そういえば右も左もゴリラでしたねえ。この世界はもうおしまいだと思います。でもこのコンビニは地底の奥深くにありすぎてあんまり関係ないです」
「そう……ゴリラと言えばジャングル! かつてこのコンビニにまだまともに意欲値があったころ、このコンビニはジャングルにあったはずだ。ジャングルにさえいれば、うなるほどのゴリラが集まってきていたに違いない……そうなれば、こんな秘境にほかに店があるはずもない、俺達はゴリラに商品を売りつけて大儲けしていたはずだ。だが! 現実はどうだ! ここにはもぐらしかいねぇ!」
サムサックは壁の穴から出てきたもぐらを指さして大げさに嘆くと、そのまま壁に向かって崩れ落ちた。
「このコンビニにまともに意欲値があったことなんて、一度だってありましたっけ……」
「事象はすべからく相対的なものなのだ。禅をやっていたならわかるだろう」
「やったことないです」
このコンビニは慢性的に意欲値が低く、近年とくに意欲値の減少が著しいため、あまりの意欲の低さにもはや客がまともに近づけない地底の奥深くに追いやられていた。酒を買って意欲値を上げる! と宣言していたものの、今のところ酒が仕入れられる気配はまったくなかった。
「意欲がなくてもコンビニはできる。いい時代になったものだな」
「店長のやっているのはコンビニではなくて詐欺では? プロフィールにも詐欺師って書いてあります」
「書いてあることがすべてだと思っていると騙されるぞ」
「契約書って、最終的には書いてあることがすべてなんですよねえ……」
意欲がなくて体力もなくて誘惑と物の値段がやたら高いというのは、どう考えても詐欺そのものな気がするぞ!
摘発をかわせ! ティミーテール!
「ところでティミィ、トラブル対策はしているか?」
「えっ? 店長がいつも客を爆発させてるやつですか」
「自分のミスを他人のせいにするのはよくないな。まあ、調べればすぐにわかることだし、周知の事実だろうが、一応おさらいしておこうか」
「日記のネタがなくなってきたんで、どうでもいいことを書いてお茶を濁そうとしていますね?」
「このやり取り全部含めてだいぶ昭和に戻ってないか」
「はい」
かつて年号が昭和という名称だった時代があった。なお昭和のことを知っている者はもうこの世に存在しない。
「まずこのトラブルテーブルを見てくれ。トラブルテーブルは例によって省略されました、と言いたいところだが別に省略するほどのものでもないのでそのまま書く。
属性値0→体力▲78 貢献+22
属性値50→体力▲73 貢献+27
属性値100→体力▲45 貢献+55
属性値150→体力▲17 貢献+83
属性値200→体力▲0 貢献+111
属性値250→体力▲0 貢献+138
各属性の商品をひとつアセンブルする度に属性値が50ずつ増える。
トラブルは全体を通して毎ターン当たり50%で発生すると予想される。優しいおじさん相手でも発生率は変わらないので販売ごとではなくターンごとに発生判定があるのだろう。ただし異なる属性のトラブルは同一ターンで重複して発生するため、実質的な発生率は各属性のトラブルごとに12.5%+α(場の属性により変動)が4ライン、だろうな。
この表を属性値変動ごとの効果変動量に直すとこうなる。(ただし属性値は商品数で比較するため1/50にした)
属性値0→1:体力+5 貢献+5
属性値1→2:体力+28 貢献+28
属性値2→3:体力+28 貢献+28
属性値3→4:体力+17 貢献+28
属性値4→5:体力+0 貢献+27
ここから面白いことがわかる。まず、属性値を0→1にするのは明らかに効果が低い。特定の属性の商品を1個だけ持つのはほとんど意味がないということだな。
次に、属性値を4→5、もしくはそれ以上にするのは、少なくとも疲労の蓄積を防ぐという意味ではまったく効果がない。貢献はこれ以降もほぼ等差で増えていくので、属性値4未満の他の属性を増やす場合に比べて、単純に体力分だけ損になる。
仮に、各属性のトラブルの発生率が完全に同じである場合、属性値によって確保できる体力の量は各属性の商品を「3・3・3・3」と持つのが一番大きくなり(244)、次に4・4・4・0(234)、4・3・3・2(233)、4・4・2・2=4・4・3・1(222)と続く。見ての通り、場の属性の偏りを無視した場合、体力面では各属性を満遍なく持つのが一番強い。244と222の差は22だが、この22だけでも毎ターンのトラブル発生率が12.5%、全11ターン(0~10ターン)をすべて生き残ったとすると、22×11×0.125=30疲労値に相当するのでそれなりに馬鹿にできない。偏った属性だけでは戦えないのは現実も同じってことだな」
「詐欺師に現実を諭されるようになったらおしまいですねえ」
「俺はいい詐欺師だぞ」
「いい詐欺師……?」
ティミィは首をかしげるが、店長であるサムサックは意に介さない。
「一方、貢献は0→1以外はどこまでいっても伸び率が変わらない為、所持属性数=貢献値の式が成り立つ。この場合、所持属性数を絞ったほうが、0→1を踏む回数が少ないので強い。貢献値はアセンブルする属性の種類が一つ増えるごとに23(28-5)ずつ減っていく。23×11×0.125=31.625なので、最終的な貢献ボーナスの差は8闇円相当だな。1属性しか持たない奴は4属性とも持っている奴に比べて24闇円のアドバンテージを得ることができる。正直なところ、雀の涙にも見える……が、貢献値分では得していても、属性を一つに絞ったことで体力が244→78(12・0・0・0)になったら、差は166! 166×11×0.125=228疲労値分のロスが発生するぞ。キミは24闇円でこの228疲労値を取り戻すことができるか?」
「詐欺師っていうか、もう通販のひとじゃないですか」
「そう、偏りは恐ろしい。確率でも、なんでもだ。228疲労値は大雑把に計算して商品15個分だ。知らない間に、売れたはずの商品15個分を損していたりしませんか? 目の前に転がる24闇円が欲しいばっかりに……」
「でも店長、今回の商品、癒し属性6個ありますよ。多くないですか?」
「同じ属性の商品を5個以上持たないほうがいい。そんなことを知らなかったばっかりに、見えないところで損をしていたりするかもしれません。この世界は恐ろしい欺瞞でいっぱいなのです……」
「店長~~」
「属性の合ういい出物がなかったんだ」
「最近そればっかり言ってますねえ」
このレポートを書いた人は詐欺師なので自己責任でご利用ください。
「今日ももぐらが元気ですねえ」
そして彼女はかつてこのコンビニの店員を務めていたと言い伝えられるコンビニ娘のティミィである。
「そうなんだ……大失敗だった」
「え? 何がですか?」
「今、地上でかつてないゴリラウェーブが起こっているのを知っているか?」
店長であるサムサックは、かつてコンビニの監視カメラとして使われていた地表監視用のモニターを映し出した。そこには大小さまざまなゴリラが映し出されている。
「ああ、そういえば右も左もゴリラでしたねえ。この世界はもうおしまいだと思います。でもこのコンビニは地底の奥深くにありすぎてあんまり関係ないです」
「そう……ゴリラと言えばジャングル! かつてこのコンビニにまだまともに意欲値があったころ、このコンビニはジャングルにあったはずだ。ジャングルにさえいれば、うなるほどのゴリラが集まってきていたに違いない……そうなれば、こんな秘境にほかに店があるはずもない、俺達はゴリラに商品を売りつけて大儲けしていたはずだ。だが! 現実はどうだ! ここにはもぐらしかいねぇ!」
サムサックは壁の穴から出てきたもぐらを指さして大げさに嘆くと、そのまま壁に向かって崩れ落ちた。
「このコンビニにまともに意欲値があったことなんて、一度だってありましたっけ……」
「事象はすべからく相対的なものなのだ。禅をやっていたならわかるだろう」
「やったことないです」
このコンビニは慢性的に意欲値が低く、近年とくに意欲値の減少が著しいため、あまりの意欲の低さにもはや客がまともに近づけない地底の奥深くに追いやられていた。酒を買って意欲値を上げる! と宣言していたものの、今のところ酒が仕入れられる気配はまったくなかった。
「意欲がなくてもコンビニはできる。いい時代になったものだな」
「店長のやっているのはコンビニではなくて詐欺では? プロフィールにも詐欺師って書いてあります」
「書いてあることがすべてだと思っていると騙されるぞ」
「契約書って、最終的には書いてあることがすべてなんですよねえ……」
意欲がなくて体力もなくて誘惑と物の値段がやたら高いというのは、どう考えても詐欺そのものな気がするぞ!
摘発をかわせ! ティミーテール!
「ところでティミィ、トラブル対策はしているか?」
「えっ? 店長がいつも客を爆発させてるやつですか」
「自分のミスを他人のせいにするのはよくないな。まあ、調べればすぐにわかることだし、周知の事実だろうが、一応おさらいしておこうか」
「日記のネタがなくなってきたんで、どうでもいいことを書いてお茶を濁そうとしていますね?」
「このやり取り全部含めてだいぶ昭和に戻ってないか」
「はい」
かつて年号が昭和という名称だった時代があった。なお昭和のことを知っている者はもうこの世に存在しない。
「まずこのトラブルテーブルを見てくれ。トラブルテーブルは例によって省略されました、と言いたいところだが別に省略するほどのものでもないのでそのまま書く。
属性値0→体力▲78 貢献+22
属性値50→体力▲73 貢献+27
属性値100→体力▲45 貢献+55
属性値150→体力▲17 貢献+83
属性値200→体力▲0 貢献+111
属性値250→体力▲0 貢献+138
各属性の商品をひとつアセンブルする度に属性値が50ずつ増える。
トラブルは全体を通して毎ターン当たり50%で発生すると予想される。優しいおじさん相手でも発生率は変わらないので販売ごとではなくターンごとに発生判定があるのだろう。ただし異なる属性のトラブルは同一ターンで重複して発生するため、実質的な発生率は各属性のトラブルごとに12.5%+α(場の属性により変動)が4ライン、だろうな。
この表を属性値変動ごとの効果変動量に直すとこうなる。(ただし属性値は商品数で比較するため1/50にした)
属性値0→1:体力+5 貢献+5
属性値1→2:体力+28 貢献+28
属性値2→3:体力+28 貢献+28
属性値3→4:体力+17 貢献+28
属性値4→5:体力+0 貢献+27
ここから面白いことがわかる。まず、属性値を0→1にするのは明らかに効果が低い。特定の属性の商品を1個だけ持つのはほとんど意味がないということだな。
次に、属性値を4→5、もしくはそれ以上にするのは、少なくとも疲労の蓄積を防ぐという意味ではまったく効果がない。貢献はこれ以降もほぼ等差で増えていくので、属性値4未満の他の属性を増やす場合に比べて、単純に体力分だけ損になる。
仮に、各属性のトラブルの発生率が完全に同じである場合、属性値によって確保できる体力の量は各属性の商品を「3・3・3・3」と持つのが一番大きくなり(244)、次に4・4・4・0(234)、4・3・3・2(233)、4・4・2・2=4・4・3・1(222)と続く。見ての通り、場の属性の偏りを無視した場合、体力面では各属性を満遍なく持つのが一番強い。244と222の差は22だが、この22だけでも毎ターンのトラブル発生率が12.5%、全11ターン(0~10ターン)をすべて生き残ったとすると、22×11×0.125=30疲労値に相当するのでそれなりに馬鹿にできない。偏った属性だけでは戦えないのは現実も同じってことだな」
「詐欺師に現実を諭されるようになったらおしまいですねえ」
「俺はいい詐欺師だぞ」
「いい詐欺師……?」
ティミィは首をかしげるが、店長であるサムサックは意に介さない。
「一方、貢献は0→1以外はどこまでいっても伸び率が変わらない為、所持属性数=貢献値の式が成り立つ。この場合、所持属性数を絞ったほうが、0→1を踏む回数が少ないので強い。貢献値はアセンブルする属性の種類が一つ増えるごとに23(28-5)ずつ減っていく。23×11×0.125=31.625なので、最終的な貢献ボーナスの差は8闇円相当だな。1属性しか持たない奴は4属性とも持っている奴に比べて24闇円のアドバンテージを得ることができる。正直なところ、雀の涙にも見える……が、貢献値分では得していても、属性を一つに絞ったことで体力が244→78(12・0・0・0)になったら、差は166! 166×11×0.125=228疲労値分のロスが発生するぞ。キミは24闇円でこの228疲労値を取り戻すことができるか?」
「詐欺師っていうか、もう通販のひとじゃないですか」
「そう、偏りは恐ろしい。確率でも、なんでもだ。228疲労値は大雑把に計算して商品15個分だ。知らない間に、売れたはずの商品15個分を損していたりしませんか? 目の前に転がる24闇円が欲しいばっかりに……」
「でも店長、今回の商品、癒し属性6個ありますよ。多くないですか?」
「同じ属性の商品を5個以上持たないほうがいい。そんなことを知らなかったばっかりに、見えないところで損をしていたりするかもしれません。この世界は恐ろしい欺瞞でいっぱいなのです……」
「店長~~」
「属性の合ういい出物がなかったんだ」
「最近そればっかり言ってますねえ」
このレポートを書いた人は詐欺師なので自己責任でご利用ください。
STORY
ゴリラ様のご来店により、陳列がめちゃくちゃになってしまったコンビニこれは一体どういうことなのか……ゴリラウェーブの正体とは……
「さなえ、どうやら敵はあなたを完全に叩きのめしたい様子」
「……」
さなえは黙ったまま、乱れた商品を並べなおしていた。視察先全てがこのような有様だった
金魚の魔女は静かに空中を泳いでいる
「さなえ、ちょっとは落ち込んだ?」
「……そうだね。思うようにはいかないね」
「どうする? 手助けを――」
「手助け?」
さなえの瞳に、金魚が翻る!
「ここからが面白いところじゃない! 這い上がるのってね……楽しいんだよ」
――這い上がるのってね、楽しいんだよ――
◆訓練
機転の訓練をしました機転が16上昇した
機転の訓練をしました機転が17上昇した
機転の訓練をしました経験値が足りない
機転の訓練をしました経験値が足りない
機転の訓練をしました経験値が足りない
◆送品
◆送金
◆破棄
サムサックは虚無飲食物を破棄した!
サムサックは虚無酒類を破棄した!
サムサックは虚無雑誌を破棄した!
◆購入
サムサックは紅茶畑のジオラマを1214闇円で購入した!
サムサックは紅茶畑のジオラマを1214闇円で購入した!
サムサックは紅茶畑のジオラマを1214闇円で購入した!
◆作製
メモ帳36とナナシ特性星の砂を素材にして深淵からの呼び声を作製した!
◆コンビニタイプ決定
マルチ に決定!!
◆アセンブル
スロット1に紅茶畑のジオラマを装備した
スロット2に紅茶畑のジオラマを装備した
スロット3に紅茶畑のジオラマを装備した
スロット4に大自然の空気を装備した
スロット5にマイクロブラックホールを装備した
スロット6に深淵からの呼び声を装備した
スロット7に週刊「今日のあざらし」を装備した
スロット8に週間いやしねこを装備した
スロット9に刻車を装備した
スロット10に刻車を装備した
スロット11に刻車を装備した
スロット12に炎上するトラックを装備した
◆アイテム改名
◆アイテムアイコン変更
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メッセージ
◆戦闘結果
売り上げ
闇円収入 2774
貢献収入 245
マルチ補正 5%
行動順報酬!! 3%
合計闇円収入3264
◆経験値が35増加しました……
◆体力が28増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
貢献収入 245
マルチ補正 5%
行動順報酬!! 3%
合計闇円収入3264
◆経験値が35増加しました……
◆体力が28増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
サムサックは椅子40を入手した!
サムサックは幟40を入手した!
サムサックは魅了マニュアル40を入手した!
サムサックは新人マニュアル40を入手した!
キャラデータ
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プロフィール
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詐欺師。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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店舗データ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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