第8週目 小瀬青一郎の一週間
◆日記
返品したいんですけどと持ってこられた本はカール・ウィックマンだしエリック・ブロウだしつまり俺が作った本でうちの店で売ったかどこかに卸されたかは知らないものだがたしかに俺が隅々までゲラを読んだあの本で理由はふたつ、音楽性が違うから返品したいというのがひとつに著者の名前が父親の仇だというのがひとつでどちらも真に受けるのは難しいが本を返品したいというのは本当でつまり客として買ったがいらなかったか面白くなかったということだろう。返本じゃなく返品というのはそういうことでこの夕闇国の本がどういう法律下で扱われているのかちゃんとわかっているわけじゃないがふつう書店で返品は駄目だろと思うし俺が前につぶした本屋でも返品はなしでやってきたしそもそも哲学書人文書の店で返品をわざわざするような人間はいなかった。この国はなにもかもが違うと思いながらつっかえしたその客の返品したいんですけどとへらへら笑う顔がそれでも頭から離れなくてうちには在庫の山があり書店のころには返本してたそいつらだってひとりで版元やってる今じゃ俺が返本先でつまるところこの本の山を断裁するのは俺の役目でこの手狭な店には断裁室なんて作ってなくてゲラを整理してたあの机で本の分解をそのうちやらなくちゃならないんだろうなという未来が気持ちを暗くさせるし編集やめて断裁から遠のいた書店やって書店つぶしてまた断裁やるんだからよくよくバカだなと思いながらいちばん初めにばらばらにするのはカール・ウィックマンの在庫だってことも知っている、売り切れなかった俺の本だということを知っている、ウィックマンは読まないしあの客も読まなかったし本を返品だなんてそんなことをしに来て俺は突っぱねてでも俺にそんな権利があったのかといえばいやあるに決まってるのにどうしたってノイズみたいに胸の奥で濁ったぎざぎざが肺のあたりを掻きむしるのをやめない。胃からいやなにおいがするし事務所いっぱいに本が積み上がっていてもうこれは売り物にならないし断裁しなくちゃならない明日にはもうきっと俺はやらなくちゃならない。
STORY
夕闇国の夕空は燃えるように輝くオリハルコンの金魚マシンは、夕日を受けてやはり火焔のごとき輝き
「いつまで続ければいいんだろう、フランチャイズの店長さんの契約もそろそろ終わり」
さなえは静かに夕暮れの街を見る
「金魚の知恵だからって、このままじっとしていていいのかな……」
「私は全力で生きている……? ひいおじいちゃんが教えてくれたこと……」
視界の端をポコポコドラミングするゴリラが横切る
「この世で最もか弱きものが、胸を張って堂々と生きれたら、それが最高に素晴らしいことだって」
さなえは曾祖父からゆらぎの力を受け継いでいた。さなえが胸を張って金庫の扉を開けたとき……
そのときゆらぎの審判によって金庫の中身が決まるという
「自信がないよ……正しく生きれているのか。もし正しく生きていないと裁かれたら……ごぼぼっ!?」
言葉が泡で詰まる。はっと自分の両手を見る。それは紛れもなく金魚の鰭であった
――この世で最もか弱き金魚に――
◆訓練
気品の訓練をしました気品が28上昇した
気品の訓練をしました気品が30上昇した
◆送品
◆送金
◆破棄
青思導書店は近所のお姉さん32を破棄した!
青思導書店は気品マニュアル40を破棄した!
青思導書店は鳥の羽40を破棄した!
青思導書店はフライヤー44を破棄した!
◆購入
青思導書店はジャン・ディット『応答-の/する-経験』を1080闇円で購入した!
青思導書店はジャン・ディット『応答-の/する-経験』を1080闇円で購入した!
青思導書店はジャン・ディット『応答-の/する-経験』を1080闇円で購入した!
◆作製
作成時発動! 高級!! 単価強化!
ダイヤの指輪44とくやしさのばね44を素材にして大山一郎『哲学売り』を作製した!
◆コンビニタイプ決定
ビジネス に決定!!
◆アセンブル
スロット1にジャン・ディット『応答-の/する-経験』を装備した
スロット2にジャン・ディット『応答-の/する-経験』を装備した
スロット3にジャン・ディット『応答-の/する-経験』を装備した
スロット4にジャン・ディット『応答-の/する-経験』を装備した
スロット5に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット6に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット7に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット8に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット9にエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を装備した
スロット10にエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を装備した
スロット11にエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を装備した
スロット12に大山一郎『哲学売り』を装備した
◆アイテム改名
◆アイテムアイコン変更
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メッセージ
ENo.140からのメッセージ>>
少しばかり声を立てて笑う。
「いやあ、失礼だなんて。
とんでもないですよ。
見た目でわかることでもないですからね、そんなこと」
「”世界とは何か、認識とは何か、存在とは何か”……。
だけどその人たちは、読まれるために書いたんでしょう。
それなら――読んでみたいですね。
読んだところでけっきょく、僕の頭にわかりはしなくとも」
しばらく、あなたの声を聞いている。
じっとその顔を見つめながら。
「……。
面白そうですね。
それに、たしかに難しそうだ。
読んでみたいなあ――探しますよ。
『論理哲学論考』ですね、忘れないようにしなくちゃな。
見つかるものかは、もちろんわかりませんけど、それでもいつか。
きっとそのうちには」
「そういやさっき、”ここでできた本ばかり”とおっしゃってましたが。 ということは、あなたが?」
言いながら、本棚に並ぶ書名を眺める。
手を伸ばし――かけて小さくかぶりを振り、笑いながら手袋を外す。
白い指先が、触れるともつかない近さで背表紙たちを撫でては過ぎる。
そうして立ち止まる。
「……この『応答-の/する-経験』という本は、どういった本なんですか」
メッセージを送信しました
>>Eno.70
少しばかり声を立てて笑う。
「いやあ、失礼だなんて。
とんでもないですよ。
見た目でわかることでもないですからね、そんなこと」
「”世界とは何か、認識とは何か、存在とは何か”……。
だけどその人たちは、読まれるために書いたんでしょう。
それなら――読んでみたいですね。
読んだところでけっきょく、僕の頭にわかりはしなくとも」
しばらく、あなたの声を聞いている。
じっとその顔を見つめながら。
「……。
面白そうですね。
それに、たしかに難しそうだ。
読んでみたいなあ――探しますよ。
『論理哲学論考』ですね、忘れないようにしなくちゃな。
見つかるものかは、もちろんわかりませんけど、それでもいつか。
きっとそのうちには」
「そういやさっき、”ここでできた本ばかり”とおっしゃってましたが。 ということは、あなたが?」
言いながら、本棚に並ぶ書名を眺める。
手を伸ばし――かけて小さくかぶりを振り、笑いながら手袋を外す。
白い指先が、触れるともつかない近さで背表紙たちを撫でては過ぎる。
そうして立ち止まる。
「……この『応答-の/する-経験』という本は、どういった本なんですか」
メッセージを送信しました
>>Eno.70
◆戦闘結果
売り上げ
闇円収入 2964
貢献収入 263
行動順報酬!! 20%
合計闇円収入3872
商品販売数 3個
◆経験値が48増加しました……
◆体力が27増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
貢献収入 263
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青思導書店はアルハラ48を入手した!
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キャラデータ
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プロフィール
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Seiichiro Oze. 二十三歳で大学を出て、 人文・思想・哲学書をつくる、 小さくもない出版社に入った。 よくこの業界に入ってきたねえ。 このご時世に若い人が。 そう言われながら歓迎されて、 癖のある著者と編集者のなかで本をつくって、 二十六歳で会社が消えた。 本をつくる側から売る側に行き、 書店をやって、二年でつぶした。 借金が残ったあとの夕闇で、 夕闇国に迷い込む。 夕闇国、 そこはあらゆる世界の夕闇の狭間につながる昏い国。 小瀬青一郎、二十八歳。 出版界の夕闇から来た男。 彼は今も人文書を売っている。 彼の世界で本は売れない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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店舗データ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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