ENo.0144　ラスティ・ネイル

「ラスティーーーーーーーーーー！」

　ラミアの金魚の悲痛な叫びが響き渡る。

「ラスティ……どうして、こんなことに……」

　激しいコンビニ戦争。ラスティは過労に次ぐ過労を積み重ねていた。
　ついにその反動がきたのだろうか……。
　ラスティは隣に大型ショッピングモールに潰されてしまった。
　そのショッピングモールが抱える店舗数は総数48店舗。
　多くのテナントを引き入れ、その集客力はすさまじいものだろう。
　ラスティといえど、それに潰されてしまえば耐えることはできないだろう。

「ラスティ……」

　ラミアの金魚はラスティを友として認めるようになっていた。
　ここまでの戦いを共に経て、そしてお互い成長していく仲間。
　コンビニ戦争。万が一が常に隣り合わせの戦場。
　決してこの状況もありえない話ではなかった。それでも。


　――この現実はとても受け止められるようなものではなかった。

「ラスティ、これからはあなたの遺志は私が受け継ぐわ。あなたの夢、世界一の店舗をこの夕闇国に構えるという夢を」
「えっ、そんな夢じゃないですよ」

　有名ファーストフード店がラストストアーを嘲笑う。
　世界的ファッションブランドがラストストアーを見下す。
　果たして、ラミアの魔女は、戦うことができるのか……！

「コンビニ戦争、この悲しみを私が許すことは絶対ないわ。必ず私の手で終わらせてみせるわよ。そして、彼女の夢を」
「もしもーし」

　ラミアの金魚はラスティの亡骸を抱える。
　それは無残にもプレスされて引き伸ばされた亡骸。
　今となってはそれが金魚だったのかヒラメだったのか判別はつかないだろう。

　ラミアの金魚は固く決意する。
　これはラミアの金魚が友の遺志を引き継ぎ、大きな戦いに挑む物語。
　その物語の結末は今はまだ決まっていない。
　彼女も友と同じ結末を辿るのか、それとも戦いの末に何かをつかむのか。




　今、もう一つの戦いが始まった。







　次回予告
　今まで血筋と環境のせいで色のついた話がまったくなかったラスティ。
　そのラスティについに春が訪れる？
　笑顔ランキング23位（1/9現在）の努力は無駄ではなかったのか。
　次回、夕闇国のコンビニ戦争～ザ・ラストラミアラストデイ～
　『ラミアの春』
　彼女は夕闇国で生き残れるだろうか。