第10週目 『風食む白き牙』の魔王の一週間
◆日記
--- ………。 ---
--- ……さま ---
--- 魔王さま。 ---
--- お目覚めになられましたか? いまから開店の準備をするので、少し場所を空けてもらいたいのですが。 ---
聞き覚えのある声が、ぼんやりと頭の中に届く。
ん…?
開店準備だと?! しまった、寝過ごしたか…うぉっ?!!
立ち上がろうと後ろ足に力を込める…
が、上手くバランスが取れずに、そのまま仰向けに倒れ込んでしまった。
--- きゃっ?! ---
--- うわっ?! …どうしたんですか、魔王さま。まさか、寝ぼけてるんですか? ---
女性の驚いた声と、青年の苦笑いが混じって耳に届く。
むっ?! 私が寝ぼけるなどと…
………。
………。
…あれ?
そこは見慣れたいつものパン屋。普段と変わらない、朝の景色があった。
青年はキッチンと焼き窯を忙しなく往復し、女性は陳列テーブルを丁寧に拭いている。
朝の澄んだ空気の中に、パンを焼く香ばしい匂いが漂う。
--- じきに焼きあがりますから、もう少しお待ち頂けますか? 魔王さま。 ---
青年が、水を張った皿を目の前に置いた。
ぺろりと舌を付け、二口、三口と飲み下す。
ひんやりと冷たい感触が、乾いた喉を心地よく潤してゆく。
……夢、だったのか?
ぼんやりとした記憶があった。何かを成そうとしていた、記憶。
とても疲れたような、けれども充実していたような、さりとて満たされなかったような…
--- あ! 魔王さま、おはようございます。 ---
--- まおーさま、おはようございますー。 ---
向けられた幼い声に、残っていた残滓も掻き消える。
丁寧にお辞儀をする少女と、挨拶代わりに飛びついてくる少年。
--- あら、おはよう。2人とも早いのね。 ---
--- ええ、今日は少し早く目が覚めてしまって。 ---
--- もうすぐ焼きあがるから、お店に入って待っていてね。 ---
--- ねえねえ、これであそんでていい? ---
--- だめよ、お店のものでしょう? ---
--- いいわよ、まだ使わないから ---
準備をしていた女性と、2人のたわいないやりとりが聞こえる。
ほどなく、じゃらら…ぱちぱち と、何かを弾く音がした。
少し気になり、少年と少女の方に向かうと、なにやら木の道具をいじっている。
--- うーん むずかしい… ---
--- あら…どこでまちがえたのかしら? ---
2人は、紙に書かれた数字を睨み、小さな木箱のようなものを前にして、難しい顔をしていた。
--- あ、魔王さま… ---
どれ…
2人の横に座り、木箱を自分の前に引き寄せる。
ふむ…
2,329-
2,014-
2,119-
2,620-
3,460-
4,110-
4,094-
5,125-
締めて 25,871- …か。これで合っているだろう?
ぱちぱちと爪先でソロバンを弾き、フン!と鼻を鳴らして答えを計上する。
--- ま、魔王さま… ソロバンできるんですか?! ---
--- わー! まおーさま すごーい! ---
呆気にとられた少女と、歓声を上げる少年。
そのことを理解するまでに、しばらくの間があった。
え? あれ…?
私は何故、これを使えるのだ…?
ほとんど無意識に珠を爪弾いていたが、この道具は見るのも使うのも初めてだ。
そもそも、私は数を数えることすら不得手だったはずなんだが…
じゃらりと珠を崩してご破算にし、今度は別の和算問題を睨む。
………。
……。
--- 魔王さまにこんな特技があったなんて… 今度、私にも教えてください! ---
感心した少女が、屈託の無い笑みを向ける。
いや、教えて欲しいのは私の方なのだが…
--- えっ? 魔王さま、会計ができたんですか?!
それじゃあ、忙しいときはお手伝いを頼んでも構いません? ---
女性がにこやかに微笑みかける。
--- そりゃあいい! 魔王さまに店長をやってもらいましょう! ---
焼きあがったばかりパンを窯から取り出し、青年が茶化す。
夕闇が晴れ、朝を迎えた紅茶の大地には、変わらない初夏の風が吹いていた。
--- ……さま ---
--- 魔王さま。 ---
--- お目覚めになられましたか? いまから開店の準備をするので、少し場所を空けてもらいたいのですが。 ---
聞き覚えのある声が、ぼんやりと頭の中に届く。
ん…?
開店準備だと?! しまった、寝過ごしたか…うぉっ?!!
立ち上がろうと後ろ足に力を込める…
が、上手くバランスが取れずに、そのまま仰向けに倒れ込んでしまった。
--- きゃっ?! ---
--- うわっ?! …どうしたんですか、魔王さま。まさか、寝ぼけてるんですか? ---
女性の驚いた声と、青年の苦笑いが混じって耳に届く。
むっ?! 私が寝ぼけるなどと…
………。
………。
…あれ?
そこは見慣れたいつものパン屋。普段と変わらない、朝の景色があった。
青年はキッチンと焼き窯を忙しなく往復し、女性は陳列テーブルを丁寧に拭いている。
朝の澄んだ空気の中に、パンを焼く香ばしい匂いが漂う。
--- じきに焼きあがりますから、もう少しお待ち頂けますか? 魔王さま。 ---
青年が、水を張った皿を目の前に置いた。
ぺろりと舌を付け、二口、三口と飲み下す。
ひんやりと冷たい感触が、乾いた喉を心地よく潤してゆく。
……夢、だったのか?
ぼんやりとした記憶があった。何かを成そうとしていた、記憶。
とても疲れたような、けれども充実していたような、さりとて満たされなかったような…
--- あ! 魔王さま、おはようございます。 ---
--- まおーさま、おはようございますー。 ---
向けられた幼い声に、残っていた残滓も掻き消える。
丁寧にお辞儀をする少女と、挨拶代わりに飛びついてくる少年。
--- あら、おはよう。2人とも早いのね。 ---
--- ええ、今日は少し早く目が覚めてしまって。 ---
--- もうすぐ焼きあがるから、お店に入って待っていてね。 ---
--- ねえねえ、これであそんでていい? ---
--- だめよ、お店のものでしょう? ---
--- いいわよ、まだ使わないから ---
準備をしていた女性と、2人のたわいないやりとりが聞こえる。
ほどなく、じゃらら…ぱちぱち と、何かを弾く音がした。
少し気になり、少年と少女の方に向かうと、なにやら木の道具をいじっている。
--- うーん むずかしい… ---
--- あら…どこでまちがえたのかしら? ---
2人は、紙に書かれた数字を睨み、小さな木箱のようなものを前にして、難しい顔をしていた。
--- あ、魔王さま… ---
どれ…
2人の横に座り、木箱を自分の前に引き寄せる。
ふむ…
2,329-
2,014-
2,119-
2,620-
3,460-
4,110-
4,094-
5,125-
締めて 25,871- …か。これで合っているだろう?
ぱちぱちと爪先でソロバンを弾き、フン!と鼻を鳴らして答えを計上する。
--- ま、魔王さま… ソロバンできるんですか?! ---
--- わー! まおーさま すごーい! ---
呆気にとられた少女と、歓声を上げる少年。
そのことを理解するまでに、しばらくの間があった。
え? あれ…?
私は何故、これを使えるのだ…?
ほとんど無意識に珠を爪弾いていたが、この道具は見るのも使うのも初めてだ。
そもそも、私は数を数えることすら不得手だったはずなんだが…
じゃらりと珠を崩してご破算にし、今度は別の和算問題を睨む。
………。
……。
--- 魔王さまにこんな特技があったなんて… 今度、私にも教えてください! ---
感心した少女が、屈託の無い笑みを向ける。
いや、教えて欲しいのは私の方なのだが…
--- えっ? 魔王さま、会計ができたんですか?!
それじゃあ、忙しいときはお手伝いを頼んでも構いません? ---
女性がにこやかに微笑みかける。
--- そりゃあいい! 魔王さまに店長をやってもらいましょう! ---
焼きあがったばかりパンを窯から取り出し、青年が茶化す。
夕闇が晴れ、朝を迎えた紅茶の大地には、変わらない初夏の風が吹いていた。
STORY
とうとう経営黒字化を果たした金魚坂グループ無制限フランチャイズ作戦は終わり、雇われ店長さんたちは自由の身となった
そのまま店を続けるもの、店舗を譲渡し経営から去る者…そう、自由に
雇われ店長さんたちには約束通り報酬が支払われた
ゆらぎの通貨は累積闇円と同額の、それぞれの世界の通貨へと姿を変える
それは32839アメリカドルかもしれないし、32839ラオスキープかもしれない
あるいは海外旅行のあと、使えないお金が眠るように……引き出しの奥に眠るかもしれない
そのお金で、あなたは何を買うのだろう
――お買い物、しませんか?――
◆訓練
気品の訓練をしました気品が28上昇した
笑顔の訓練をしました笑顔が12上昇した
◆送品
◆送金
◆破棄
『風食む白き牙』の店長は機転マニュアル52を破棄した!
『風食む白き牙』の店長は幟52を破棄した!
『風食む白き牙』の店長はフライヤー52を破棄した!
◆購入
『風食む白き牙』の店長は念願のソードを1425闇円で購入した!
『風食む白き牙』の店長は神殺し【芋焼酎・激辛】を712闇円で購入した!
『風食む白き牙』の店長はカヌレを1425闇円で購入した!
◆作製
作成時発動! 意欲!! 意欲強化!
ブリオッシュと鳥の羽52を素材にしてクロワッサン・オ・ブールを作製した!
◆コンビニタイプ決定
マルチ に決定!!
◆アセンブル
スロット1にカヌレを装備した
スロット2にクロワッサン・オ・ブールを装備した
スロット3にカンノーロを装備した
スロット4にクイニーアマンを装備した
スロット5にまるごとウコンを装備した
スロット6に純米大吟醸を装備した
スロット7にライカスマイルを装備した
スロット8にお喋りロボット モャーシーを装備した
スロット9に杏酒を装備した
スロット10に念願のソードを装備した
スロット11に神殺し【芋焼酎・激辛】を装備した
スロット12にカヌレを装備した
◆アイテム改名
カヌレをブリオッシュに改名した!
◆アイテムアイコン変更
|
|
メッセージ
◆戦闘結果
売り上げ
闇円収入 4734
貢献収入 797
マルチ補正 5%
行動順報酬!! 20%
合計闇円収入6968
商品販売数 5個
◆経験値が60増加しました……
◆体力が38増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
貢献収入 797
マルチ補正 5%
行動順報酬!! 20%
合計闇円収入6968
商品販売数 5個
◆経験値が60増加しました……
◆体力が38増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
『風食む白き牙』の店長は日々の挨拶56を入手した!
『風食む白き牙』の店長は機転マニュアル56を入手した!
『風食む白き牙』の店長は気品マニュアル56を入手した!
キャラデータ
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プロフィール
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
白い毛皮に紫がかった青色のたてがみを持つ獣。 すらりとした顔立ち、しなやかな体躯、 ふさふさとした尾からは、狼や狐のような動物を連想させる。 たてがみは、獅子や馬のそれよりも、 どちらかというと人間の頭髪に近い。 右の目には傷があり、眼は潰れているようだ。 大きさは、狼よりは大きく、豹よりは小さい。 人の言葉を理解しているようには見えるが、 喋ることは不得手なようだ…? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
_0_1_2_3_4_5_6_7 _8_9101112131415 1617181920212223 |
店舗データ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|