ENo.0138　園咲せり

夕闇国のとあるコンビニの店長、園咲せりは頭を抱えていた。

まず、なぜ自分が店長などという役職に就いてしまっているのか。
彼女は確かにコンビニのスタッフ募集に応募していた。
高校生活にもようやく慣れ、お小遣いが欲しいがために親を説得し、
オープニングスタッフ募集の張り紙があったコンビニに応募したところだったのだ。
面接もそう大したことはなく、来週から来てくれと言われ期待と不安が入り交じる一週間を過ごしていたのだ。
それがどうしてこうなった。

そもそも、ここは一体何処なのか。
バイト初日、授業を終えた彼女はコンビニに向かっていた。向かっていたはずだった。
確かに慣れている道ではなかったし、もっと帰り道にあるようなところにすればよかったと反省はしている。
でもそんな、住み慣れた町の中で迷うほどの方向音痴ではなかったはずだ。
それでも今目の前に広がる光景は、全く見たことのないもので…本当にどうしてこうなった。

まぁなってしまったものは仕方ない、若干腑に落ちなくはあるけれどもやれるだけのことはしよう、とせりは思うことにした。
というか開き直るしかなかった。
退職届を突きつけようにも誰に出せばよいかわからなければ、
出せたとしても帰る方法もわからず、
それならもうボーナスを期待して頑張るしかないと思ったのだ。




そしてオープン初日。
わけのわからない他店とわけのわからないお客様を見て、やっぱり帰るべきなのではと途方に暮れることとなった。