ENo.0142　縁継庵

　
　本をぜんぶ読んで、帽子の人にあいさつもして、
それでうちに帰ろうかなーーーーって思ってたんだけど。


　　　　　　　　　　我ら一族の悲願を果たすには未だ遠く、
　　　　　　　　　これもひとえに自らの未熟故か。


　帰る途中で道に迷っちゃったかな。
　見たことない空だしずっと暗いや。


　　　　　　　　　　戯れに紐解く物語は大層興味深くはあったがしかし、
　　　　　　　　　次の手立てを探す頃合いではあろう。


　なんだろ、あの家。　光ってる？　揺れてる？　……呼んでる？
　どうせどこ行っても知らないとこだし、あそこ行ってみようかな。


　　　　　　　　　　そうと決まれば今が吉日、さて新たな叡智の場へと、
　　　　　　　　　一歩踏み出すや否や喚ばれたこの家屋は、さていずこの巷に繋がるや。



　　　　*扉がガラリと開けられる*



　あっ！　見たことある牛だ！
ここってまだ本の中なの？　戻って来ちゃった？


　　　　　　　　　　これはどうした、忘れもしまい空行くエイか。
　　　　　　　　　縁の再び巡ると見えるこの地は、はてさて糧と成り得るものか。


　　　　まーいっか！　せっかくだしここで色々見てまわろっかな。
　　　　まあ良いか。　こうして集わされたその由を、見定めるのも悪くはあるまい。