ENo.0055　カシ・サルミネン

「ふぃ～、やってやったぜ…！」

正月飾りで飾り立てられた店の前で、額の汗を拭う。
さわやかな顔で。歯まで光る。キラーン。
店内には馬鹿でっかい三方と、その上に乗せられたこれまた馬鹿でっかい鏡餅。
棚にも勿論餅がいっぱいである。
大小さまざまな鏡餅に、丸餅切り餅、かき餅、おふく、みかん餅にいも餅、横にはトッピングのパック。
大根、納豆、きなこ、海苔、しょうゆ、砂糖、キムチにチーズ。
砂糖といえばスイーツ関係も充実している。
あん餅は、あんこをまぶすタイプと中に包み込むタイプの両方を取り揃え、勿論あんこもつぶあんこしあん、白あん、塩あん、いもあん、栗あん、ずんだあん、うぐいすあん、珍しいところでは蓮の実あんなんかも置いてある。

「餅は皆大好きだからな！　これだけありゃあ足りるだろ…いや、足りねえかな、そんときゃ急遽餅つき大会でも開いちまうか！」

だがその前に、店の裏に放置してある俵５俵分の藁を片付けるほうが先ではないだろうか。