第9週目 小瀬青一郎の一週間
◆日記
下げた後もウィックマンは俺の店の在庫にあって本は俺が殺さない限りなくならないしそこにあり続けるのみならず店のたなに置かれないその本は読まれさえしないで横たわっている死骸に似ていて俺が拾い上げれば読むこともそりゃあできるがそれは読者を持ったことにはならないし俺は俺の読者を見つけなくちゃいけないはずだったのだがこの世界でもウィックマンは売れないままで書かなきゃいけない帯が書きかけのままで刷り上がった次の本が行先を待って納本されていて俺はどうしていつから俺の店が黒字になり始めたのかわからないふりをしているけれどそれは明白に瀬島先生の本が売れてからだし瀬島先生の出版権を無視して俺が勝手に編集して売り出した瀬島先生の本は俺を先生らしいしようがねえなの不機嫌そうな顔で助けてくれたが瀬島先生の本を買っていた客はみんなゴリラで俺は頭が狂ったんだろうかそれとも俺の本は結局そういうものだったのだろうか結論を出したくなくて今もなんで本をつくっているんだろう。俺はだれに売れたかったんだろう。だれに本を読んでほしかったのだろう。俺は本を読んでほしかったんだろうか。俺は本をつくりたかったんだろうか。エントリーシートに書いて面接で話した志望動機はもう忘れたしどのみち俺にそこまでの本それ自体にたいする熱意はなくて斜に構えて笑って哲学まかせてください人文書いくらでも読みますよなんて言って俺は実際本を読むことそれじたいにかんしてはずいぶん自信を持っていたしじっさい仕事を持ってからだって俺には読めない本はなかったということが俺のなさけない矜持のひとつをたしかにつくっちゃいたんだけど俺はいま自分で刷ったウィックマンも瀬島先生の本もこわくて読めずにいるが俺には読まなきゃいけない本があってジャン・ディットとそいつはいってフランス系ユダヤ人の家に生まれたが親ごとはやくにユダヤ人コミュニティから出て自分のルーツを見失ったまま無神論をあれこれ経由したあとでもう戻れないところのことばかり書いている匿名の哲学者だった。俺はその本の説明をたのまれたときに立て板に水にたいに話すことができなくてこんどあの客にちゃんときちんと一からどんな本だか説明してやるために読まなくちゃいけないんだが俺は自分の本を読む自信がなくて大論理学を読んで大論理学が読めるおまえに読めないはずはないとふるいたたせ弁証法的理性批判を読んで弁証法的理性批判が読めるおまえに読めないはずはないと言い聞かせでもそれはあまたの結局手引があった本だったなということを思い返して俺がこの世界でつくった手がかりのないジャン・ディットを俺がつかまえる手がかりが結局どこにもないことに気がついて夕暮れのまま朝が来ないでいてこの世界には朝が来ずにミネルヴァの梟はどこをいま飛んでいるのかもさだかじゃない、遠雷のような音が聞こえて俺にはそれがゴリラのドラミングのように思えて怖くなる、ゴリラがまた俺の本を買っていくんじゃないかと怖くなる、俺の店が経済的に成功するんじゃないかと怖くなる。
STORY
ついに自らも金魚となってしまったさなえ金魚坂グループは終わりに思えた……そのとき!
「ごぼぼっ、ごぼぼぼっ!?」
さなえは素敵なものを目にする。炎を帯びたオリハルコンの接客マシンだ
「ハッチュウシマス……ノウヒンシマス……」
なんと金魚型接客マシンたちが、店の業務を始めたのだ!流石オリハルコン製といったところだ
(ああ……大丈夫なんだ……みんな、全部を任せて……金魚の知恵で……何も考えずに金魚鉢で……)
しかし、さなえの心に燃え上がるのは別の感情!
「ごぼぼっ、そんなわけあるか……わたしは、わたしの全てを、わたしの手でやり遂げる!」
さなえの……人間の手が接客マシンの腕を掴んだ
「……貸してみなさい。本気の経営ってやつを、見せてあげるよ」
そのころ、金魚坂本社の地下、金庫の鍵がみしりと軋んだ音を立てた……
――さあ、決算を始めよう――
◆訓練
気品の訓練をしました気品が33上昇した
◆送品
◆送金
◆破棄
青思導書店はフライヤー36を破棄した!
◆購入
青思導書店は大山一郎『哲学売り』を1123闇円で購入した!
◆作製
アルハラ48とアルハラ48を素材にしてカール・ウィックマン『分離と定言』を作製した!
◆コンビニタイプ決定
ビジネス に決定!!
◆アセンブル
スロット1にジャン・ディット『応答-の/する-経験』を装備した
スロット2にジャン・ディット『応答-の/する-経験』を装備した
スロット3にジャン・ディット『応答-の/する-経験』を装備した
スロット4にジャン・ディット『応答-の/する-経験』を装備した
スロット5に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット6に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット7に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット8に瀬島道理『かろやかな善』を装備した
スロット9にエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を装備した
スロット10にエリーゼ・ジョンソン『疎外と詐術』を装備した
スロット11にカール・ウィックマン『分離と定言』を装備した
スロット12に大山一郎『哲学売り』を装備した
◆アイテム改名
◆アイテムアイコン変更
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メッセージ
◆戦闘結果
売り上げ
闇円収入 2622
貢献収入 143
行動順報酬!! 20%
合計闇円収入3318
商品販売数 2個
◆経験値が52増加しました……
◆体力が33増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
貢献収入 143
行動順報酬!! 20%
合計闇円収入3318
商品販売数 2個
◆経験値が52増加しました……
◆体力が33増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
青思導書店はアルハラ52を入手した!
倉庫がいっぱいで素材を受け取れない!
倉庫がいっぱいで素材を受け取れない!
倉庫がいっぱいで素材を受け取れない!
キャラデータ
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プロフィール
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Seiichiro Oze. 二十三歳で大学を出て、 人文・思想・哲学書をつくる、 小さくもない出版社に入った。 よくこの業界に入ってきたねえ。 このご時世に若い人が。 そう言われながら歓迎されて、 癖のある著者と編集者のなかで本をつくって、 二十六歳で会社が消えた。 本をつくる側から売る側に行き、 書店をやって、二年でつぶした。 借金が残ったあとの夕闇で、 夕闇国に迷い込む。 夕闇国、 そこはあらゆる世界の夕闇の狭間につながる昏い国。 小瀬青一郎、二十八歳。 出版界の夕闇から来た男。 彼は今も人文書を売っている。 彼の世界で本は売れない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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店舗データ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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