ENo.0042　グリアル行衛

「いやー、すごいゴリラだった」
このコンビニも例外なく陳列をしっちゃかめっちゃかにされたので、片付けを強いられる羽目になった。
あの白い魔女はと言えば今頃どこかで買いこんだ書物を読むのに夢中だろう。


さて片付けも折り返し地点か、と周囲を見ようとして目につく。
自分の両手首につけたリストバンド。
正確に言えばバンドじゃないし、そもそも物でもない。
確か不定の…なんだったか、どうも思い出せない。

彼女は俺がこれと契約じみた行為をした事に対して若干の後悔を抱いているようで、思えば他にいくらでもマトモな延命方法があったはずなのよ、と言われた。
黒魔術の何処がマトモなんだと言うツッコミはさておいて、恐らく今書物を読み込んでいるのは今のこの状態をどうにかしたくて手がかりを探しているんだと思う。

俺としては片付けを手伝って欲しかったし、


（…ほんとーに気にしてないんだけどなァ）

自分の身体が極端に軽く感じたり、何かが抜け落ちたように何かしら忘れていくとはいえ、元より大雑把に先しか見ない性格の彼に、白い魔女の考えにいまひとつ共感できなかった。

「やべ…早く片付けしねェと、開発も残ってンだこちとら」