第8週目 B・ミナスジェライス兄妹の一週間
◆日記
業務日誌
7日目
記入:臨時店長リオ・バーントイエロー・ミナスジェライス
金魚坂グループ肝入りの、オリハルコンを利用した金魚型接客オートマタが完成したと聞いた。思いのほか好評らしい。
遠目におれも見てきたが、彼らは皆一様に、紅く燃え盛る幻影をその鱗に纏っていた。身動きする度に薄暮の中でもはっきりと煌めくその姿は、確かに目を引くものではあった。近々例のオートマタ専門ムック誌も彼らを取り上げた記事を書くだろう。
今日の支給素材は肝臓と有給申請書だった。
それを自動人形に渡しておいたら、何故か紫水晶の首飾りが入荷していた。シトリン・マーケットでは外部に商品開発を委託しているのだが、時折こうやって訳の分からないものを出してくる。いつぞやなどはダイヤの指輪を持って行ったら非加熱のシトリンの指輪に化けてしまってアニカが憤慨していた。
それにしても、肝臓が支給されるとは思わなかった。
それはクーラーボックスに厳重に保存されて店に届いた。検品するときは何だか、犯罪に手を貸しているような後ろめたさ感覚があった。アレが一体何の肝臓だったのかは、今となってはもう分からない。持ち主が何なのかは知らないでいた方が良いような気がして、おれも妹達もスキャンしなかった。自動人形達すらその事には一切触れようとしなかった。
あの検品のせいだろう。これを書きながら、おれは自分の内臓について考えている。
おれ達三人に残った「生身」の部分は脳と脊髄を含む神経系、そして内臓の一部が該当する。しかしその中に肝臓や腎臓、心臓はない。筋肉は人工繊維だし眼球は赤外線センサー付きの義眼で、皮膚や髪も元の感触に似た人工物に置き換えられている。
かつておれ達の体にあったそれらは、今はどこにあるのだろう。とっくに廃棄されて焼却されたか、内臓に関しては出所を隠して売り飛ばされたかもしれない。というのも、おれ達がサイボーグ化した経緯は少々きな臭いからだ。
おれが元いた国では通常、サイボーグ化手術は本人の志願か特殊な事情(例えば大怪我をして機械化しないと生きられないとか)があって実施される。しかし以前のおれ達は何の問題もない健康体で、志願をするような年齢や立場でもなかった。非戦闘員の、ただの子供だった。
おれ達の元になった子供達、その父は、かつてウォーハイドラ開発の主任研究者として故国で権勢を振るっていた。故国のため、或いは妻が残した子供達のためと言って、彼は禁じ手に足を突っ込んでいた。人体実験も日常的に行っていたらしい。
しかしそんな事をしていれば絶対にどこかしらで恨みを買う。それは減ることなく膨らんで、やがて復讐を遂げた。
告発により父は組織内での権力闘争に敗れ、研究の行き過ぎを咎められてその立場を追われた。同時に家族であるおれ達も捕縛されて、再利用と称して実験対象になった。あの国では敗者に人権はなかった。
そこから先は記憶も記録もめちゃくちゃで、今となっては正確なところはよく分からない。おれ達が複合体計画第四世代機『バーントイエロー』として残像領域に向かった頃には、その以前の任務履歴は綺麗さっぱり消されてしまっていた。多分、おれ達の改造にかかった予算を回収しようとして、ろくでもない使われ方をしていたんだろう。
だから需要があり、金にもなる臓器は切り売りされたんだろうとおれは推測する。昨日届いた肝臓だって、もしかしたらおれ達三人の誰かが持っていたものなのかもしれない。
(あり得ない、おれ達がこの体になって何年経った? そうも思う。けれど何もかもが揺らぐここでは時間が揺らいだって不思議はないだろう?)
妙なことを書きすぎてしまった。
業務日誌と銘打ちながら、これは最近ほとんどおれの日記になっている。構うものか。そもそもここは経営母体がはっきりしない幻のような店だし、ちゃんとした店の記録はバックヤードのコンピューターがより詳細で正確なものを保存している。誰かから求められればそちらを提出すればいい。
今更このノートを誰が読むというんだろう。これを書いているおれと、今も背後に佇んでいる気配のする、おれ達の父の亡霊のほかは。
シトリン・マーケットとの契約期間の終了が近づいている。
そろそろこっちも、決着を着けなければならないかもしれない。
7日目
記入:臨時店長リオ・バーントイエロー・ミナスジェライス
金魚坂グループ肝入りの、オリハルコンを利用した金魚型接客オートマタが完成したと聞いた。思いのほか好評らしい。
遠目におれも見てきたが、彼らは皆一様に、紅く燃え盛る幻影をその鱗に纏っていた。身動きする度に薄暮の中でもはっきりと煌めくその姿は、確かに目を引くものではあった。近々例のオートマタ専門ムック誌も彼らを取り上げた記事を書くだろう。
今日の支給素材は肝臓と有給申請書だった。
それを自動人形に渡しておいたら、何故か紫水晶の首飾りが入荷していた。シトリン・マーケットでは外部に商品開発を委託しているのだが、時折こうやって訳の分からないものを出してくる。いつぞやなどはダイヤの指輪を持って行ったら非加熱のシトリンの指輪に化けてしまってアニカが憤慨していた。
それにしても、肝臓が支給されるとは思わなかった。
それはクーラーボックスに厳重に保存されて店に届いた。検品するときは何だか、犯罪に手を貸しているような後ろめたさ感覚があった。アレが一体何の肝臓だったのかは、今となってはもう分からない。持ち主が何なのかは知らないでいた方が良いような気がして、おれも妹達もスキャンしなかった。自動人形達すらその事には一切触れようとしなかった。
あの検品のせいだろう。これを書きながら、おれは自分の内臓について考えている。
おれ達三人に残った「生身」の部分は脳と脊髄を含む神経系、そして内臓の一部が該当する。しかしその中に肝臓や腎臓、心臓はない。筋肉は人工繊維だし眼球は赤外線センサー付きの義眼で、皮膚や髪も元の感触に似た人工物に置き換えられている。
かつておれ達の体にあったそれらは、今はどこにあるのだろう。とっくに廃棄されて焼却されたか、内臓に関しては出所を隠して売り飛ばされたかもしれない。というのも、おれ達がサイボーグ化した経緯は少々きな臭いからだ。
おれが元いた国では通常、サイボーグ化手術は本人の志願か特殊な事情(例えば大怪我をして機械化しないと生きられないとか)があって実施される。しかし以前のおれ達は何の問題もない健康体で、志願をするような年齢や立場でもなかった。非戦闘員の、ただの子供だった。
おれ達の元になった子供達、その父は、かつてウォーハイドラ開発の主任研究者として故国で権勢を振るっていた。故国のため、或いは妻が残した子供達のためと言って、彼は禁じ手に足を突っ込んでいた。人体実験も日常的に行っていたらしい。
しかしそんな事をしていれば絶対にどこかしらで恨みを買う。それは減ることなく膨らんで、やがて復讐を遂げた。
告発により父は組織内での権力闘争に敗れ、研究の行き過ぎを咎められてその立場を追われた。同時に家族であるおれ達も捕縛されて、再利用と称して実験対象になった。あの国では敗者に人権はなかった。
そこから先は記憶も記録もめちゃくちゃで、今となっては正確なところはよく分からない。おれ達が複合体計画第四世代機『バーントイエロー』として残像領域に向かった頃には、その以前の任務履歴は綺麗さっぱり消されてしまっていた。多分、おれ達の改造にかかった予算を回収しようとして、ろくでもない使われ方をしていたんだろう。
だから需要があり、金にもなる臓器は切り売りされたんだろうとおれは推測する。昨日届いた肝臓だって、もしかしたらおれ達三人の誰かが持っていたものなのかもしれない。
(あり得ない、おれ達がこの体になって何年経った? そうも思う。けれど何もかもが揺らぐここでは時間が揺らいだって不思議はないだろう?)
妙なことを書きすぎてしまった。
業務日誌と銘打ちながら、これは最近ほとんどおれの日記になっている。構うものか。そもそもここは経営母体がはっきりしない幻のような店だし、ちゃんとした店の記録はバックヤードのコンピューターがより詳細で正確なものを保存している。誰かから求められればそちらを提出すればいい。
今更このノートを誰が読むというんだろう。これを書いているおれと、今も背後に佇んでいる気配のする、おれ達の父の亡霊のほかは。
シトリン・マーケットとの契約期間の終了が近づいている。
そろそろこっちも、決着を着けなければならないかもしれない。
STORY
夕闇国の夕空は燃えるように輝くオリハルコンの金魚マシンは、夕日を受けてやはり火焔のごとき輝き
「いつまで続ければいいんだろう、フランチャイズの店長さんの契約もそろそろ終わり」
さなえは静かに夕暮れの街を見る
「金魚の知恵だからって、このままじっとしていていいのかな……」
「私は全力で生きている……? ひいおじいちゃんが教えてくれたこと……」
視界の端をポコポコドラミングするゴリラが横切る
「この世で最もか弱きものが、胸を張って堂々と生きれたら、それが最高に素晴らしいことだって」
さなえは曾祖父からゆらぎの力を受け継いでいた。さなえが胸を張って金庫の扉を開けたとき……
そのときゆらぎの審判によって金庫の中身が決まるという
「自信がないよ……正しく生きれているのか。もし正しく生きていないと裁かれたら……ごぼぼっ!?」
言葉が泡で詰まる。はっと自分の両手を見る。それは紛れもなく金魚の鰭であった
――この世で最もか弱き金魚に――
◆訓練
笑顔の訓練をしました笑顔が21上昇した
機転の訓練をしました機転が19上昇した
◆送品
◆送金
◆破棄
◆購入
イエローズはえながまんを600闇円で購入した!
イエローズは魔王印のあつあつ肉まんを600闇円で購入した!
イエローズはあんずタルトを600闇円で購入した!
◆作製
作成時発動! 停滞意欲!! 意欲強化!
肝臓44と有給44を素材にして紫水晶の首飾りを作製した!
◆コンビニタイプ決定
ホワイト に決定!!
◆アセンブル
スロット1にヴァイス・ローゼン・ヨーグルトを装備した
スロット2にシルバーバナナを装備した
スロット3にキング・クラブ・バーガーを装備した
スロット4に魔王印のあつあつ肉まんを装備した
スロット5にえながまんを装備した
スロット6に敗者にならない技術vol.1を装備した
スロット7に世界最先端!接客用オートマタの世界を装備した
スロット8に紫水晶の首飾りを装備した
スロット9に深淵からの呼び声を装備した
スロット10に投稿!怖い話vol.6『魔除けのススメ』を装備した
スロット11にあんずタルトを装備した
スロット12に古びた懐中時計(機械式・手巻き型)を装備した
◆アイテム改名
◆アイテムアイコン変更
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メッセージ
◆戦闘結果
売り上げ
闇円収入 2973
貢献収入 487
ゲージ突破成功!! ホワイト補正 5%
行動順報酬!! 11%
合計闇円収入4032
商品販売数 1個
◆経験値が46増加しました……
◆体力が116増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
貢献収入 487
ゲージ突破成功!! ホワイト補正 5%
行動順報酬!! 11%
合計闇円収入4032
商品販売数 1個
◆経験値が46増加しました……
◆体力が116増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
イエローズはCM放送48を入手した!
イエローズは新人マニュアル48を入手した!
イエローズは気品マニュアル48を入手した!
イエローズは大量消費社会48を入手した!
キャラデータ
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プロフィール
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どこぞの霧深い世界からやってきた、サイボーグの三人兄妹。 サイボーグなので、腰から尻尾のような充電ケーブルが生えている。 生活費を稼ぐべくとあるバイト募集のチラシを手に取ったところ、 夕闇国でコンビニの店長をする羽目になってしまった。 兄:リオ・B・ミナスジェライス 青年型サイボーグ。外見年齢は十代後半ぐらい。 三兄妹で一番感情表現が下手くそ。最近やっと笑顔が作れるようになってきた。根は素直。 最年長ということでコンビニ「シトリン・マーケット」の店長を押し付けられた苦労人。 勤務日記も彼が書いている。兄の性か。 妹その一:ヴェラ・B・ミナスジェライス 少女型サイボーグ、ロングヘアーの方。外見年齢は十代前半ぐらい。 リオの妹その一。アニカとは双子。いつも穏やかに笑っているおっとりさん。 勤務中に歌い出してしまうのが玉に瑕。 妹その二:アニカ・B・ミナスジェライス 少女型サイボーグ、ツインテールの方。外見年齢は十代前半ぐらい。 リオの妹その二。ヴェラとは双子。よく笑いよく走るおてんばさん。 勤務中に踊りだしてしまうのが玉に瑕。 コンビニ「シトリン・マーケット」 リオ達が経営を任せられた小さなコンビニ。 天井からは黄水晶(紫水晶を加熱して作った人工モノ)のドロップが装飾として いくつもいくつも吊り下がり、看板はけばけばしい黄金色をしている。 外には異世界の魔王から委託されたという多肉植物の無人販売所が併設されている。 最近店舗に幽霊が出るらしい。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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店舗データ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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