ENo.0023　闇

【業務報告】
　……売り上げが下がった。利益が全く出ていない。
　仕入れの額面を思えば……危うく赤字になる所だ。
　何か対策を考えるべきなのだろうが……どうにも、いい策が浮かばない。
　かといって、不慣れを言い訳にしてはおれぬ。
　四の五の言わず、周辺の……売り上げが出ている店舗に、視察に行くべきであろうか……

[純売上/総収入]
　2221/2640

[支出]
　950+1161+527= 2638

[計上利益]
　2

[備考]
　ほぼ赤字。

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　初日よりはましだが……先週よりも、収入が下がった。
　先週の段でも、不足を補うには足りぬというに、それが再び低下したのでは、立つ瀬もない……
　……ニセは、順調に……微々たるものであろうとも、業績は右肩上がりのようだ。
　基礎売上もさること……やはり、本社評価の高さが、俺と違って顕著といえようか。
　……経営は妻に任せ、俺は雑務に徹する方が、上手く行くのではなかろうか……開店当初に過った困惑が、再びに頭を擡げてくる。
　さりとて……本社からの支援があったとはいえ、開業も只ではない……せめて、借り入れ分を返済してからでなければ、店舗を引き払う訳にもいかぬ。
　これが、一時の気の迷いで済む程度、今後の業績が上向くならばいいが……
　己の手腕を見るに、どうにも、展望は薄暗い……

　斯様に……如何せん、後ろ向きな思考ばかりが過るのは、いまいち慣れぬ業務に疲弊しているせいなのだろうか……
　……同じように働いているはずだというのに。日々、合間を縫っての、妻の気遣いが身に沁みる。
　冷え込みの増す最中、手製の弁当と珈琲は、例え冷めても胸中には温かい。
　真新しい襟巻きに、僅か漂う残り香へ……安息じみたものを求めて、幾度、顔を埋めたか知れない。
　……次は、手袋か膝掛けかと、微笑っていたが。
　俺の事ばかり気遣って、自身は寒くないのだろうか……
　……思うばかりで、一体、俺からは何を呉れてやればいいのか、一向に浮かばず。
　今は、其れが不甲斐無い。