ENo.0074　さいはてきょうだい

　ゴリラウェーブがどこかへ帰っていって、ひと安心。
　アルクスストアはいつもの調子にもどりました。

「その目、どうやってるの？　コンタクトレンズ？」
「いや、自力で膜作って覆ってる。まあサングラスの代わりだな」
「ふへー　すごい」

　私たちアルクスのいちぞくは、体の形を変えたり、辺りのまりょく？とかマナ？とかのせいぎょをしたり、それで何かを操ったり、ができます。
　みんな得意なものがちがうから、全部できるよって人はほとんどいないんだけど。

「ねえ、ビスお兄ちゃん」
「どうした？」
「わたしもみんなみたいに、これなら任せてって何かができるようになるかな……」
「心配なのか」
「うん……まだ、何もできない、から」

　ビスカムお兄ちゃんはうでっぷしが強いし、サンタルムお姉ちゃんはまりょくの流れを操るのがじょうず。
　アギネティアお姉ちゃんはいろんな乗物を乗りこなせるし、ストリガお兄ちゃんは料理がじょうずで、クスクタお兄ちゃんはまじゅつにくわしい。
　わたしはまだ、何も得意なものがないの。

「生まれたてのヒヨヒヨが何言ってんだ、お前が才能伸ばすのはこれからだろ」
「これから……かなあ」
「俺がお前ぐらいの歳だった頃は、無意味にそこらへん走り回ったり無意味な穴掘って埋めたりしてた」
「お兄ちゃん……」
「憐れむような目で見んな。とにかく焦るなってことだ」

　お兄ちゃんの言葉からあふれる、なぞのせっとく力。
　すると今度はたなの後ろからサンタルムお姉ちゃんがにゅっっと生えてきました。

「そーだよ！　それにヒュムはこれからたくさん本読んで色々勉強するんじゃなかったっけ？」
「うん……その、つもり。本、好きだから」
「だよね！せっかく図書館があるところに行くんだから、おもいっきり読みまくってきちゃえばいいと思うなー。ほら、知識ってたくさん持ってても邪魔にならないからね」
「そーだそーだ！」
「はい仕事に戻ってねそこの脱走兵」
「あーれー」
「いま何か通った」
「通ったね、話を戻すけどヒュムが何かを覚えたら私たちも恩恵にあやかれるわけだから、それだけでももう活躍に期待大！だよ！」
「そっか……そうだね、ありがと、お姉ちゃんお兄ちゃん」
「おう」
「あと私がヒュムぐらいの歳のころは無意味に土こねてたよー」
「ちはあらそえない……」
「おーい、昼飯できたぞー！」

　みんなのおかげで、むねがほかほかする。
　末っ子、ってなんだかおとくだなあ。